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荘川桜 奇跡の物語 [飛騨高山NEWS]

 飛騨はいまだ朝晩[がく~(落胆した顔)]肌寒い日が続きますが、

自然は着々と[晴れ]初夏に向かって命を育んでいます。

飛騨高山祭りも4月14日、15日に控へ、桜の花も蕾を膨らませて

います。


某TV局「奇跡体験アンビリーバボー」という番組で紹介され、大きな反響を呼んだ桜の木があります。

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 荘川桜(しょうかわざくら)は、岐阜県高山市荘川町(旧荘川村)中野の国道156号沿い、御母衣ダム湖岸にある樹齢四百年と推定されるサクラの古木。荘川桜は、アズマヒガンザクラという野生種の桜で、ごく薄いピンク色の花弁とごつごつした幹が特徴です。樹齢約450年の古木です。

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 昭和34年(1959年11月3日)、日本の産業復興の為にはどうしても電力の確保が急務であるという国情の中、庄川上流の御母衣のひとつの村がダム開発のために水没することになってしまいました。

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 わずか174世帯とはいえ、この地で生まれこの地で育ちこの地で生きてきた人々にとっては、故郷が水没し消えてしまうという大変残酷で、苦渋に満ちた決断を迫られる出来事でした。


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 住民側との交渉にあたったのは、電源開発の初代総裁高崎達之助。(写真右から2番目)彼は真摯に住民との対話を続け、断固として建設に反対し続ける村民でしたが、交渉を進めるに及び、常に村民の気持ちを考え、時には共に涙を浮かべ交渉にあたる高崎の誠実さと人柄に触れ、村民たちの頑なな気持ちは次第に打ち解け、6年の歳月をかけ住民達は苦渋の決断をし、開発側と和解をするのでした。

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 和解のときはすでに高齢の為、総裁の職を辞していた高崎でしたが、再度御母衣を訪れ、沈みゆく学校・鉄橋・家々など、水没予定地をゆっくり見て回りました。そして、学校の隣にある光輪寺の境内の片隅に、幹周一丈数尺はあろうと思われる古木がそびえており、それを見たときこの桜を救いたいという気持ちが、胸の奥のほうから湧き上がってくるのを抑えることが出来ませんでした。

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 村の象徴であるを救うために白羽の矢があったたのは、日本随一の桜研究家と知られ、自ら「桜男」と名乗る笹部新太郎(写真)でありました。「この樹齢450余年の古木を移植し、活着できる見込みはあるのでしょうか?」という高崎の問いに笹部は「自信は持てませんナ。」高崎は食い下がり「絶対に無理ですか?」と聞きました。笹部は「こと生き物に関しては、絶対などという言葉は使いたくありません。」そういいながら言葉を継ぎ「やればいいのでしょう、、。」と言ってしまいました。

笹部は高崎の懇願を受け入れてしまったことを後悔しつつ、これに失敗したら二度と桜を語るまいと心に誓いました。

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 数多くの人による尽力の末、老桜はダムの水面より上の丘へと引き上げられました。しかも、笹部が現地に赴いた際に発見した照蓮寺の、やはり樹齢450年以上の桜も一緒に、2本同時の移植が行われました。

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 それは、世界植樹史上例のない移植工事でした。重量合わせて73トン。移動距離600メートル。高低差50メートル。俗に「桜伐(き)る馬鹿、梅伐らぬ馬鹿」といわれるように、梅と異なり、桜はむやみに枝を伐採すると、たちまち立ち枯れしてしまう外傷に弱い植物しかしこの2本ほどの巨木の移植は、枝や根を伐らずには、数メートルを移動させることすら不可能でした。


 無事、移植はされましたが、丸裸になってしまった老桜を見た周囲の声は、「古木の手足を切り取って生きてゆけるわけが無い、むしろ今の姿のまま、ダムの底に沈んだ方が良かった。」と、非常に厳しいものでした。

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 しかし、奇跡は起きたのです。遅い春が訪れ古木の活着状態を確認するため残してあった枝にがつき、薄いピンクの花が見事に咲いたのです。地元の人達は大感激、中でも湖底に沈んだ村の老女は桜の幹にすがって号泣しました。

 tok00601.jpg ”歌碑”

  そして、高崎は桜の古木を見上げながら、詠みました。

ふるさとは 湖底(みなそこ)となりつ
  移し来し この老桜  咲けとこしへに

いまや二人とも鬼籍の人となりましたが、人の一生のことを考えます。

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生きて名誉を勝ち取るか、死して名を残すか?

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 高崎にしろ笹部にしろ、時代が過ぎれば政治家としてのあるいは研究者としての名声は、はかなくも消えていきます。

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しかし日本という国が存在する限り、「荘川」にその名は永遠に残るでしょう・・・。

(敬称略)


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あずさ屋でお楽しみいただけます(^_-)-☆


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コメント 26

yk13an15

植物の持つ生命力に感動いたしました.荘川桜の様に強く生きたいものです.
by yk13an15 (2008-05-21 16:38) 

LadyCarna

初めまして(^^)
ご訪問ありがとうございます。

「荘川桜 奇跡の物語」のこと、初めて知りました。
気持ちは老女さんと一緒になって、思わず泣いてしまいました...
多くの人たちの気持ちが桜に通じたのだと思います。

荘川桜、いつか会いにでかけたいなぁ。

by LadyCarna (2008-05-21 17:32) 

waihaha

TVで見ました!素晴らしい桜ですよね。
いつか拝みに行きたいです。
by waihaha (2008-05-21 17:42) 

SilverMac

アンビリ、観ました。昔のリーダーは人間性豊ですね。
by SilverMac (2008-05-21 18:07) 

syousyou

すばらしい話でした。
樹齢400年の一本桜。
いつの日か満開のときに出会いたいものです。
by syousyou (2008-05-21 21:59) 

suisui

立派な桜にびっくりです。
またこの桜にこんなドラマがあったなんて。
by suisui (2008-05-21 22:09) 

はまやん

こんばんは~
素晴らしい話ですね!
機会があれば見に行きたいです。
by はまやん (2008-05-21 23:23) 

ada

桜は助かってよかったですね。住民のみなさまの住まいはなくなったのですね。
by ada (2008-05-21 23:40) 

雪洞

おはようございます(^^)
荘川桜の話、初めて伺いました…。
うちも母方はダム湖に沈んだ地域に縁がありまして
いろいろな苦労があったそうです。
ここまで考えてくれた地域は貴重だし、
後世にまで残していかなければいけないですね。
いつか訪れてみたいですね♪
by 雪洞 (2008-05-22 07:04) 

picco

とても感動的なお話ですね。
いつまでも見事な桜を咲かせてくれる事を祈っています。
by picco (2008-05-22 08:07) 

カワウソ

ご訪問ありがとうございました。
感動的なお話でした!
消えてしまった村の代わりとなって
桜は生き続けるのでしょうね。
by カワウソ (2008-05-22 11:01) 

ラブ

あ〜、ダメです。来年、荘川桜、見に行きそうですw
by ラブ (2008-05-22 17:17) 

信州のりんごほっぺ

庄川桜のTV 故郷を思う村人の気持ちと
それを受け止めた方々の気持ち行動を感動して観ました。
昨年の秋、白川郷へ行った折御母衣ダムの所を通ったのですが
謂れ知らず見なかった事、悔やまれます。
又の機会に人々の気持ちのこもった見事な庄川桜と歴史を
見たいものです。

by 信州のりんごほっぺ (2008-05-22 18:35) 

ひでくん

我が家のBlogへアクセス頂きありがとうございました。
田舎は三重県ですが、
是非一度見てみたい桜の一つです。
”花の命は短くて”と申しますが、いやいやこの木も華を持っておりますね。
by ひでくん (2008-05-22 21:21) 

かん

450年も生きていると色んなことがあるんですね。
桜の生命力には驚かされます。
by かん (2008-05-22 22:20) 

マダム・ヤン

始めまして、マダム・ヤンと言います。

このお話しには、続き(・・・あえて続きと言わせてくださいね)があリます。
荘川桜に感動した佐藤良二さん(当時金沢と名古屋を往復する国鉄バス車掌)と言う方が「日本海と太平洋を桜でつなごう」とこの桜の子供達をバスの路線に植樹されたそうです。
佐藤さんは47歳で病に倒れられましたが、今もその遺志を引き継ぐマラソン大会(さくら道国際ネーチャーラン)が行われているそうです。
佐藤良二さんの一生は、平成6年に「桜」というタイトルで映画にもなっています。

こちらも素敵なお話しですので紹介させて頂きました。
ながながと済みませんm(__)m

by マダム・ヤン (2008-05-23 12:51) 

fumipopo

感動的なお話ですね~
今を生きる桜をみると
うるうるきてしまいました
by fumipopo (2008-05-31 18:55) 

京男

こんにちは。
きっと桜は、人の思いをきいてくれたんだろうな。
いい話ですね。
by 京男 (2009-05-03 15:03) 

hirometai

荘川桜のお話、涙しながら拝見しました。いつか訪ねて、荘川桜とお話ししたいと思います。
by hirometai (2009-05-03 17:29) 

新垣繁美

いいお話ですね。
色々と考えさせられました。
by 新垣繁美 (2009-05-03 21:42) 

hir

凄いです
いっぺん、見に行かなくちゃ
by hir (2009-05-03 22:25) 

さちえ

とってもいいお話。
村民の願いが通じて奇跡を引き起こしたのですね。
私は今はアメリカに住んでますが、地元は愛知。帰省した際には訪れてみたいと思いました。
心に栄養もらいました。ありがとうございました。
by さちえ (2009-05-03 22:37) 

shimy

はじめまして!

素敵なブログですねー個人的には大好きです!
あずさ屋さん、応援してます!
by shimy (2009-05-04 01:17) 

sara-papa

私が生まれた年にその村が湖底に消える羽目になったとは、もう、50年も経つのですね!
そこの土地を手放された方々の思いが、この桜の木を救うことに繋がったのでしょう。
ただ見ただけではいけませんね!

by sara-papa (2009-05-04 06:16) 

ウエケン

いつもnice!をありがとうございます。
荘川桜の話に感動しました。1本の桜にもドラマがあるのですね。

by ウエケン (2009-05-04 22:58) 

ぼくあずさ

美しい桜の奇跡の復活、涙腺が緩みました。私の住む横浜・西柴には108本のソメイヨシノの美しい並木がありました。処が、昨年秋に全て根から抜かれ、植替えられました。家族の想い出の桜は、もうありません。
by ぼくあずさ (2010-05-01 20:08) 

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