飛騨の民話 うさぎのばんばん [飛騨の民話]
萩原町の地図をひろげてみるとわかるが、北のはし、益田郡と大野郡との境に、三つの高い山がならんでおる。
東に船山、西に川上岳、そのまん中が位山や。
これは、むかしむかしも、はるかに遠いむかし、神代の話よ。
位山に、それはすぐれた男の神さまが住んでござったんやと。・・・・・・・背はたかく、体はりゅうりゅうとして、力が強く、なかなかの男ぶりやったそうな。
位山をなかにして、東の船山にも、西の川上岳にも、これはまた花のようにかぐわしい女の神さまがおられたと。
位山の男神さまは、どちらの女神さまとも仲がよく、また女神さまたちも、位山の男神さまを、とても、したっておられたそうな。
「男神さま、わたしをお嫁にしてください。」
「いや、わたしを・・・・・・・」
会うたびに、どちらの女神さまも、きそってこう言っておられたとよ。
男神さまは、この女神さまたちが、たいへん気立てがよく美しくて、どちらともつけがたいので、「はてさて、どちらの女神さまを、もらったらよいものやら。」
と、ほとほと困ってござったそうな。
そして、いろいろ考えあぐねたすえ、女神さまたちを呼んで、言われたと。
「わしの山のてっぺんへ、十五夜の月がかかるのを合図に、わしのところへ早く来てくれた女神さまを嫁にしよう。」
それから数日がたって、いよいよ十五夜がやってきた。
東の船山の女神さまは、早くから月の出を見ることができたので、すぐにでも出
かけられるしたくをして、位山の頂上に満月のかかるのを、今か今かと待っておったが、位山が西にあるので、なかなか月がかからず、いらいらしておられたと。
一方、西の川上岳の女神さまも、すぐに出かけるやわいをして待っとったが、
川上岳から見ると、位山や船山がじゃまになって、なかなか月の出を見ることが
できず、気をもんでおられた。
ところがな、やがて満月が東の空にあらわれると、川上岳はいちばん西にあるも
んで、いま月がでたばっかしやに、もう位山にかかっておるように見えたんやと。
そのおかげでよ、まだ船山の女神さまが、
ー月が出てずいぶんたったが、なかなか位山にはかからんなぁ・・・・・・。
と、まどろしがっておる頃には、もう川上岳の女神さまは、位山の男神さまのそ
ばに行ってな、心うきうきしておられたと。
こうして男神さまは、約束により、川上岳の女神さまを、お嫁にせられることに
なったそうな。
あとにのこされた、船山の女神さまは、ぢだんだふんでくやしがり、船山と位山をへだてる川をつくられたとよ。
それが、いまの無数河川やって言うことじゃ。
ところで、結ばれた神さまたちは、その後、とても仲がようて、子どももぞくぞく生まれ、おおぜいが二つの山を行ったり来たり、とびまわったりするもんで、川上岳の上には、広い遊び場ができたんやと。
子どもの神さまたちがあそんでおるのを、ふもとから眺めると、まるでウサギが
とびはねておるように見えたそうな。
それ以来、川上岳のことを『ウサギのばんばん』と呼ぶようになったって、伝えられておる。
ご訪問&nice!&コメントありがとうございました。
なんだか、不思議ワールドへ引き込まれました。
国のはじまり・・・っぽい昔話ですね。
ちょっと前、子供にいざなぎ、いざなみとか
アマテラスなんかの神話をよく読んであげていました。
こんなふうに、自分がすんでいる地域の昔話を
調べてみるのはイイ!ですね♪
by akarinotane (2008-07-18 16:13)
飛騨高山はいいところですね・・
6月にツアーで行きました。
個人的にもう一度行ってみたいところです。
by kmc-tai (2008-07-18 22:02)
飛騨民話にはまりました。
by SilverMac (2008-07-18 22:12)
嫉妬して怒って噴火したという話でなくて良かったです。(^^;
by moonrabbit (2008-07-19 16:18)