「このままほっておいたら、田畑も道もほりとられてしまう。」
「そのうち、拝殿までも流されるわい」
「なんとかせんとどもならん。こりゃ、どえらいことになる。」
すると、長老の弥作じいが、
「おみたちの心配する気持ちは、ようわかる。
どして みと(流れの向き)がこっちへくるかってことよ。
わしはなぁ、ずっと考えておったんじゃが、
ありゃ、拝殿のひさしに彫りこんであるあのコイよ、
あいつが水をよぶんやぞ。 どしてもそうとしか思えんな。」
「そんな、ばかな・・・・・・」
「いやぁ、そうかもしれんて・・・・・・」
弥作じいの話を信じる者や、反対の者やで、やかましゅう論じあった。
弥作じいが言ったと。
「とにかく、わしは、あのコイを作んなすった和田さま(飛騨の匠)に聞いてみるのがいちばんええとおもっとる。
みなの衆、和田さまのとこへわしを行かしてくれまいか。」
それから長い間、話し合っておったんやが、いっこうによい策はみあたらん。
弥作じいの言うとおり、和田さまのところへ行ってもらうようになった。
つぎの朝、弥作じいは、和田さまの住んでおられる高山の里へでむいていったと。
和田さまは、弥作じいの話をひとつひとつうなずきながら、聞いておられたが、
・・・・・・そのうちふと立ちあがって、言われたそうじゃ。
「それでは、しばらくこの場でお待ちくだされ。」
弥作じいは、なんのこやらわからんで、じっと待っておった。
すると和田さまは、白装束の衣装を身につけて、
さっきとはうってかわったきびしい面持ちで、弥作じいの前を通りすぎ、仕事部屋にはいっていかれたと。
トントン、トントンーーー何やら木をきざむ音がきこえてくる。
弥作じいは、そのひとつひとつの音にじっと耳をかたむけて、身のひきしまる思いで待っておった。
すると、和田さまが、彫きざんだ矢を手に現れて、言わさった。
「長い間、お待たせしました。この矢を持ち帰って、あのコイにむけて取りつけてくだされ。」
弥作じいは、えりを正して、その矢をおしいただいて帰り、言われた通りに取り付けた。
それからというもの、まったく大水の心配はのうなって、村は安らかになったという。
村人たちは、これを『水よぶコイ』と名づけて、ふしぎな話もあるものよーーーと、
語り伝えてきた。
このコイと矢の作り物は、重要文化財となっている、久津八幡宮の拝殿のひさしに、彫り込まれていて、今も大切に保存されておる。
あゆには笑いました^^
私、川魚だめなので鮎も食べられませんです・・・・・
by yamagatn (2008-06-28 15:21)
沢山の民話があるようですね。
by SilverMac (2008-06-28 23:07)
えっ あゆで~すって ぼぼ影さんが…
驚きの後笑いがこみ上げてきました (へへ)
こうなると次回も期待しちゃいますよ~
by ずくなし たぬき (2008-06-29 10:50)
いろんな民話があるんですね!
鮎大好きです!
by かつころ (2009-06-08 01:26)
おはようございます
いろいろな場所に
いろいろなお話が伝わってるんでね
鮎の甘露煮、おいしいですよネーーー
by kokoro-love (2010-05-15 09:44)
こちらでも、鮎の遡上が始まってます
それにしても美しい清流ですね 合掌作りの民家と民話
旅したくなります(^^♪
by ピカチュウ (2010-05-16 01:48)